組織のサイロとカップ・アンド・トレイ問題: 仕事のあふれを止めるには

Aug 07, 2025Arnold L.

組織のサイロとカップ・アンド・トレイ問題: 仕事のあふれを止めるには

組織は、誰も働いていないから失敗することはほとんどありません。むしろ、業務の実態に合わなくなった狭い境界の中で、人々が働いているために苦戦することが多いのです。

表面的には、会社は整然として見えるかもしれません。チームには明確な職務記述書、報告系統、責任分担があります。しかし実際には、仕事は組織図が示す場所ではなく、動かせる場所へ流れていきます。ある部門にきれいに収まらない問題は、後回しにされ、遅延し、別のチームに回されがちです。やがて、組織の一部だけが過負荷になり、他の部分は混乱から守られたままになります。

この状態は、カップ・アンド・トレイ問題として表現できます。

考え方はシンプルです。ビジネスの一部はカップのように振る舞います。特定の責任を受け持ち、境界を守り、その領域への出入りを管理します。別の部分はトレイのように振る舞います。カップからこぼれたものを、想定していようがいまいが受け止めます。

これは単なる比喩ではありません。組織のサイロ、曖昧な責任分担、偏った業務配分がどのように非効率を生むかを見抜くための実践的な見方です。

カップ・アンド・トレイ問題の意味

カップ・アンド・トレイのモデルは、成長する組織でよく起きる失敗パターンを説明するのに役立ちます。

カップは通常、財務、管理部門、法務、人事、マーケティング、プロダクト、オペレーション支援といった専門機能です。こうしたチームは、担当範囲が限定され、在任期間の長いマネージャーを抱え、自分たちの職掌に何が含まれるか、何が含まれないかについて強い感覚を持っていることが多いです。自分たちの領域では効率的でも、より大きなシステムに対して必ずしも機敏とは限りません。

トレイは、余分な仕事を抱え込む広い運用層です。顧客対応、納品、あるいは部門横断の問題が発生したときに事業を支える役割を担っている場合があります。トレイには例外が集まり、緊急依頼が積み上がり、そこで初めて責任の重さが明確になります。

危険なのは、専門化そのものではありません。専門化は本格的なビジネスには不可欠です。問題が起きるのは、専門化が孤立へと硬直し、各チームが組織全体ではなく自分たちの都合だけを最適化し始めたときです。

自社にカップ・アンド・トレイ問題がある兆候

カップ・アンド・トレイ問題は、単なる負荷の偏りに見えるため見落としやすいものです。実際には、構造的な問題です。

よくある警告サインには次のようなものがあります。

  • あるチームが、複数部門に依存する成果について継続的に責められている。
  • 会議で「誰かが調べるべきだね」で終わることが繰り返されるが、フォローアップの担当者が決まらない。
  • チームが問題解決よりも境界防衛を優先する。
  • 依頼が、能力ではなく役職や慣習に基づいて振り分けられる。
  • マネージャーはいつも忙しいと言うのに、その過負荷の原因が測定されない。
  • 顧客の問題が、それを引き起こしたチームではなく、顧客に最も近いチームによって解決される。
  • 他部門が先に動くのを待つため、重要な施策の進行が遅い。

こうしたパターンが続くとき、組織は単に忙しいのではありません。構造的に労力を漏らしているのです。

なぜ起こるのか

カップ・アンド・トレイ問題は、たいてい徐々に生まれます。インセンティブ、歴史、そして恐れの産物です。

1. 狭い責任範囲

部門は、特定の課題を解決するために作られることが多いものです。しかし時間が経つにつれ、その境界が防衛的になります。チームは「何をすべきか」ではなく「これは自分の仕事か」を問うようになります。その変化は局所的な効率を守る一方で、組織の機動力を損ないます。

2. 見えないあふれ

ある機能から別の機能へこぼれた仕事は、しばしば記録されません。つまり、受け手のチームがコストを負担し、元のチームは効率的に見えるのです。データがなければ、経営陣は本当の負荷を把握できません。

3. 弱い部門横断の責任

プロセス全体を通して誰も責任を持たないと、各チームは他人に責任を押し戻せます。その結果、部分的な責任の連鎖と対応の遅れが生まれます。

4. 歴史的な慣習

組織は、慣れ親しんだ旧来のやり方を繰り返しがちです。ある作業が何年も前に正当な理由で特定部門に割り当てられたとしても、その当時の理由はもう当てはまらないかもしれません。

5. インセンティブの不一致

マネージャーが会社全体の改善ではなく自チームの防衛で評価されるなら、当然ながら自分たちのカップを最適化します。

ビジネスへのコスト

カップ・アンド・トレイ構造は、安定して見えても高くつきます。

実行の遅れ

すべての引き継ぎが遅延を生みます。すべての例外には説明が必要です。すべての境界は、仕事が止まる可能性のある場所になります。

士気の低下

トレイ役のチームは、過重労働で評価されていないと感じやすくなります。一方で、カップ役のチームは、不公平に批判されている、あるいは自分たちの判断がもたらす事業影響から切り離されていると感じることがあります。

顧客体験の悪化

顧客は、どの部門が問題を担当しているかには関心がありません。求めているのは、問題が速く正確に解決されることです。内部のサイロは、それを難しくします。

マネジメントの雑音増加

リーダーはシステム改善ではなく、対立の仲裁に時間を取られるようになります。本来は戦略に使うべき時間が、調整に消えていきます。

誤解を招くキャパシティ指標

あるチームは忙しく見えても、実際には間違った領域でしか使われていないことがあります。別のチームは落ち着いて見えても、見えないあふれが別の場所で蓄積しているかもしれません。

リーダーはどう対応すべきか

解決策は、部門をなくすことではありません。組織をシステムとして機能させることです。

1. 公式な責任ではなく、実際の仕事を測る

まず、仕事が本当にどこへ流れているかを可視化します。

次のような問いを立ててみてください。

  • 仕事はどこから発生しているか?
  • どこに流れ着いているか?
  • どのチームが例外を吸収しているか?
  • どのグループが最も多くの下流作業を生み出しているか?
  • どの問題が繰り返し発生しているか?

キャパシティレビュー、業務フロー図、負荷分析によって、標準的な組織図では見えない隠れたあふれが明らかになります。

2. 成果に基づいて責任を割り当てる

部門名が仕事のカテゴリと一致するからといって、その部門に割り当てないでください。成果を出すうえで最も適した人やチームに任せるべきです。

特に部門横断プロジェクトでは重要です。複数領域にまたがるタスクなら、単一の責任者を決め、支援役割を明確にしてください。

3. 顧客の流れを軸に再設計する

組織が顧客にサービスを提供するなら、内部の都合ではなく顧客体験の流れに沿ってプロセスを組み立てるべきです。

つまり、次のような問いを立てます。

  • 顧客は最初に何を必要としているか?
  • どこで遅延が起きているか?
  • どの内部引き継ぎが摩擦を生んでいるか?
  • どのチームが最初から最後まで解決を担うべきか?

顧客の流れに注目する組織は、隠れたサイロを早くあぶり出しやすくなります。

4. マネージャーをローテーションし、視野を広げる

在任期間の長いリーダーは、自分の機能に過度に愛着を持ちやすくなります。これは性格の問題ではなく、組織習慣の自然な帰結です。

マネージャーのローテーション、クロストレーニングの推進、隣接機能への異動は、部門本位の思考を和らげます。新しい視点は、内部の人が見慣れてしまったプロセスの欠陥を明らかにすることがよくあります。

5. あふれを見える化する

測れないものは管理できません。あるチームから別のチームへこぼれた仕事、やり直し、未解決の引き継ぎ、例外対応の所要時間を追跡してください。

あふれが見えるようになれば、非難ではなく議論しやすくなります。

6. 不要な職掌保護を取り払う

チームの職掌は責任範囲を明確にするものであって、協力から免除されるためのものではありません。事業にとって重要なタスクなら、「狭い職掌に合うか」ではなく、「最も少ない摩擦で、最も高い品質で完了するにはどうすべきか」を問うべきです。

実践例

ある会社が新しいサービスを立ち上げる場面を想像してください。

マーケティングチームがキャンペーンを作り、営業チームが販売し、オペレーションチームは、ずれた期待、増えた顧客問い合わせ、事前に話し合われなかったプロセスの穴を吸収することになります。

表面的には、誰もが自分の仕事をやり切っています。

しかし実際には、組織はあふれを生み出していました。マーケティングは立ち上げの恩恵を受け、営業はパイプラインの恩恵を受け、オペレーションが負担したのは、連携不足の代償でした。

これがカップ・アンド・トレイ問題の実例です。

解決策は、マーケティングや営業を責めることではありません。立ち上げプロセスを再設計し、関係するすべてのチームが一緒に計画し、運用準備に合意し、成果に対して共同で責任を持つようにすることです。

より良い組織マインドセット

健全な組織は、ある仕事がどのカップに属するかを問いません。システムが機能しているかを問います。

その考え方には、いくつかの文化的変化が必要です。

  • 「それはうちの部門ではない」から「解決への最短経路は何か」へ
  • 「自分のチームが過負荷だ」から「負荷は実際にはどこから来ているのか」へ
  • 「手順どおりにやった」から「その手順は成果を出したか」へ
  • 「誰が責任者だ?」から「誰が成果に責任を持つべきか」へ

これらの変化は言葉としては小さくても、効果は大きいものです。リーダーが問題を診断する方法も、チームが圧力に反応する方法も変わります。

このモデルが役立つ場面

カップ・アンド・トレイの考え方は、すべての構造を否定するものではありません。組織には、専門的な役割、報告系統、明確な責任が必要です。それがなければ、複雑さは混乱になります。

このモデルが役立つのは、組織図が必ずしも運用の現実を反映しているわけではない、という隠れた真実を明らかにするからです。

あるグループが常に他のグループの残り物を受け止めているなら、何かがおかしいのです。表面上は安定していても、その下には設計上の欠陥を抱えているのかもしれません。

次にやること

組織が行き詰まっていると感じるなら、次の簡単な見直しから始めてください。

  • 事業内で繰り返し発生している問題を列挙する。
  • それぞれの問題がどこから始まるかを特定する。
  • その仕事がどこへ行き着くかを追跡する。
  • 同じ問題がどれくらいの頻度で再発するかを測る。
  • どのチームが見えないコストを負担しているかを確認する。
  • 適切なチームが適切な仕事を担うよう、責任分担を見直す。

同じチームが何度もトレイ役になっているなら、その問題はもはや単なる運用上の細部ではありません。マネジメントの問題です。

最も速く改善する組織は、自分たちを率直に見つめ直せる組織です。形式上の役割の先を見て、仕事が実際にどう流れているかを確認します。リーダーがそれを理解すれば、あふれを減らし、連携を改善し、どのチームも他人のミスを受け止める役回りに追われないシステムを築けます。

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